あなたが私にできる事
美紀が動きを止めて私を見つめる。
「…ラブ?」
「ライク。」
好きか嫌いかと言えば好きだ。
出会って間もないのにこんなに心を開けた人はいなかった。
だけどそれが恋愛感情だとは思えない。
それに、私にはそんなもの必要ない。
「なーんだ。つまんないの。
ま、何かあったら言ってね?って言っても女子から孤立してる美紀じゃ何もできないけど。」
「うん。ありがと。」
美紀は予鈴の音と共に自分のクラスに帰った。
それと入れ違いに山口くんが姿を現した。
「恭一なんだって?」
「うん。ちょっと…。」
「なんか…。さっきからそればっかだな。」
いつもより表情の硬い山口くんはそのまま自分の席に戻ってしまった。