あなたが私にできる事
それから毎日のように阿部さんからの嫌がらせが始まった。
階段を上っていれば足を引っかけられ、食堂では制服にジュースをかけられた。
毎日毎日、くだらな過ぎる些細なことを仕掛けてくる。
それは周囲にも知られていった。
クラスの女子の態度は前にも増して冷ややかだ。
だけどなぜかそれが男子には伝わることがなかった。
山口くんたちは変わることなく私と接してくれる。
もしも、これが男子にも知れたらもっと面倒くさいことになるだろう。
特に山口くんは当事者だし、あの性格では絶対に放っておいてくれなさそうだ。
私は恭ちゃんにきつく口止めし、普段と変わりなく山口くんたちと接した。
女子と話をしないのは元々だし、阿部さんの嫌がらせさえ我慢すれば済むことだ。
すぐに飽きるだろう。
だけど私のその判断は間違っていた。