神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「それにしても、土蜘蛛はなぜこんな場所まで呼び出したんだ?」

沙綺はふとした疑問を透にぶつけた。


透はこちらにやってくる忍達を見ながら答えた。


「そうだな、奴にとっての利点はないな…。」



「じゃあ、最後に言った役目は果たしたってのは何だ?」


「俺も今そのことを考えていたところだ。
邪魔な退魔士…役目…すでに?
何か胸騒ぎがする、夜明けを待たずに一度帰ろう。」


透は沙綺を見つめるとそう言った。


「分かった。ここにいても始まらない、一度村に帰って荷物を取りに行こう!」



その時忍が話しかけてきた。


「何かあったの?珍しくまじめな顔して。」


「ああ、ちょっと胸騒ぎがするから今日は泊まらずに帰ろうって話してたんだ。」


「そうね、妖退治も終わったし長居する必要はないわね。家でゆっくり寝たいわ。」


「でもお兄ちゃん。どうやって帰るの?バスもタクシーもないよ?」



彩音が不思議そうな顔で聞いてきた。
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