神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「クックック…、猿面虎身蛇尾の鵺…お相手しましょう。」

そう言うと大きく息を吸い込み声を上げた!

「ホギャァァァァァアアア」

けたたましく響く猿の鳴き声!!ひどく不快かつ耳鳴りがする!

その瞬間!ユラユラとした僧正の幻影が消え去った!

「な……!!何だと……」

僧正は驚きを隠せずに声を上げた!

「そこでしたか」

鵺は一気に距離を詰め寄った!
その早さはまさに獣が狩りをする時の速さ!とても避けきれるものではなかった!

ドッカァァアアアンッ

僧正の体が横に殴り倒されて吹っ飛んだ!
そこにすかさず、鴉天狗の翼が降り注ぐ!

そして粉塵が舞う中、全身に翼の刺さった僧正は、既に動かなくなっていた…。

「ケッ!下らねえぜジジイ!昔はもうちったぁ出来たのによ!」

鴉天狗は不満そうにぼやくと、翼をしまった。

鵺は顔だけ僧正へ向けるとしばらく様子を見た。

「さようなら僧正…。
楽しかったですよ?クックック……アーハッハッハッ」


僧正の無力化を確認した鵺と鴉天狗は、笑いながら大寺院を出て行った。


そして少しの時が過ぎ、静寂が里を包む頃…、恐怖から解き放たれた透は変化を解いて僧正の元へ駆け寄った!

「爺様!爺様!死なないで!」

透が肩を抱くと、僧正はうっすら目を開いた。
< 20 / 428 >

この作品をシェア

pagetop