神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「沙綺は結界を呪符で張る場合どうするかぇ?」


沙綺は頭を掻いたままのポーズですぐに答えた。


「周囲一体を囲むように呪符を貼った後に、印を切って発動します。」


その答えに白蓮はにこやかに頷いた。


「つまりは呪符という点を結んだ線が結界になるわけじゃな?…そこに違いがあるのじゃよ。」


「符術士と結界士の違い…。」


「そうじゃ、結界士はその結界を最初から立方体のイメージで、瞬時に張ることが出来るのじゃよ。こんな風にな。」


キィィイン


白蓮がそう言った瞬間、部屋に結界が張られたのを沙綺は感じた。

しかしすぐにその結界はかき消されると、驚いた表情の沙綺に続けて言った。


「このイメージを形にする空想具現化の力を教えるのは容易ではないのじゃ。それに…」


白蓮はそこまで言って、ここから先を話すべきか考えた。


「それに何ですか?教えてください!」

沙綺は白蓮に続きをせかした。
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