神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
第三章 京の都
【再び現代…鵺の襲撃から五日後】
先日、鵺の襲撃により居場所を掴まれてしまった透は、あの廃ビルを捨てて、次の居場所を探していた。
爺様の遺言の一節にあった「京都へ行き、仲間を捜せ」という言葉のみが、透を動かす力になっていた。
それにしても余りに少ない情報のため、捜索は数年にわたり、難航を極めていたのだ。
自らを神楽だと名乗っても、分かる一般人は皆無な上、仲間がいかなる者かすらわからない。
果たして妖なのか、それとも人なのか?
人だとしても、神楽一族は滅亡した今、関わりのある一族など居ない…。
透は公園のベンチに腰を下ろすと、次第に地平線に消えてゆく夕日を眺めていた。
「爺様…、手掛かり無さ過ぎて話にならないぜ…。」
透は独り言を呟くと、深い溜息をついた。
その時である。
「こんにちは、お隣座ってもよろしいですか?」
いきなり声をかけられて透は慌てた。
いつの間にかすぐそばにスーツケースを持ったサラリーマン風の男が立っていた。
他にはベンチが無いため、ここに来たのだろう。
(それにしても、この距離になるまで気がつかないとは、少し疲れが溜まっているみたいだな…。)
透は黙ったまま席を空けた。
先日、鵺の襲撃により居場所を掴まれてしまった透は、あの廃ビルを捨てて、次の居場所を探していた。
爺様の遺言の一節にあった「京都へ行き、仲間を捜せ」という言葉のみが、透を動かす力になっていた。
それにしても余りに少ない情報のため、捜索は数年にわたり、難航を極めていたのだ。
自らを神楽だと名乗っても、分かる一般人は皆無な上、仲間がいかなる者かすらわからない。
果たして妖なのか、それとも人なのか?
人だとしても、神楽一族は滅亡した今、関わりのある一族など居ない…。
透は公園のベンチに腰を下ろすと、次第に地平線に消えてゆく夕日を眺めていた。
「爺様…、手掛かり無さ過ぎて話にならないぜ…。」
透は独り言を呟くと、深い溜息をついた。
その時である。
「こんにちは、お隣座ってもよろしいですか?」
いきなり声をかけられて透は慌てた。
いつの間にかすぐそばにスーツケースを持ったサラリーマン風の男が立っていた。
他にはベンチが無いため、ここに来たのだろう。
(それにしても、この距離になるまで気がつかないとは、少し疲れが溜まっているみたいだな…。)
透は黙ったまま席を空けた。