神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
その頃…


メディアを騒がせていた連続殺人鬼は、五条大橋の向こうから白蓮の屋敷の方向を眺めていた。


「さぁ…退魔士共…さっさと出てこねーと被害者が増える一方だぜ?
人間なんざ幾ら殺ったって意味がねぇ。俺様のために殺されに来い!ヒャハハハァ!」


高く不快な笑い声を上げて犯人は笑った。

犯人は、透が思った通り「鎌鼬」だった。

鎌鼬はひとしきり笑った後、目を充血させて立ち上がった。


「何だでかい妖気が探ってやがる鵺の他にこんなでかい妖気を持った奴がいるなんて聞いてないぜ」


鎌鼬は一瞬、四条の方向で膨れ上がった妖気が、自分の居場所を掴むのを感じた。


「だ、誰だってんだ?他の妖にゃ迷惑かけてるつもりはねーぞ!?
…へへっ、まぁ話せば分かるさ。」


冷や汗を隠すようにフードを深く被って、鎌鼬は再び沈黙した。
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