神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「あと回ってねーのはこの辺りだけだな。…もうすぐ祇園祭か。
って彩音!どこ行くんだよ!」


四条の大通りを歩いていた透達一行だったが、右へ左へとチョロチョロ動き回る彩音達のお陰で、なかなか進んで行かなかった。

フラフラと甘味処に向かって行く彩音を沙綺は追いかけた。


「ねぇ沙綺ちゃん、ちょっと寄ってかない?歩き疲れた時には甘い物が良いんだよ?」


「お前はそればっかりじゃねーか!さっきアイス買ってやったろ!?」


「だってほら!あんみつだよ!?沙綺ちゃんこれを見て放っておけるの?」

彩音は甘味処のディスプレイと旗を指さしながら叫んだ。


その時、カランコロンと音を鳴らせて、人影が現れた。


「フフフ、にぎやかね?こんな所で何してるの坊や。」


沙綺と彩音がワイワイやっているのを眺めていた透は、ビックリして振り返った。
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