神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
ヒュゥゥゥゥゥウウウ


透たちが刹那と戦っていた廃寺に、季節外れの冷たい風が吹いた。

暴れ回っていた前鬼は、いつの間にか光に変わって消えた。


彩音達が去った後に残されたのは、凍り付いた沙綺と倒れて動かない透、そして左手に傷を負って白い着物が焦げ付いた刹那の三人だった。


「くっ…猫又と召喚士、それに符術士に神楽一族…流石に面子が揃い過ぎだったわね。」


刹那はフラフラしながら透の元へと歩いて行った。


「旦那様のためにも、神楽の息は止めて帰らなきゃ…。」


まだ確実に殺したと確認していない透に、最後の一撃を入れようと刹那は氷の剣を手に持った。
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