神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「あら、えらい念の入れようね?そんなに坊やが嫌い?」


氷の剣を振りかざした刹那の背後から、女の声が聞こえた。


刹那は鋭い目つきで振り返って、その声の主を見つけた。


「…貴女は誰?邪魔をするなら容赦はしないわ。」


刹那の見つめる先に居たのは命だった。
命は刹那の冷たい脅迫に対して柔らかな微笑みを返した。


「そんなボロボロな体で強がっちゃって…無理はお肌に悪いわよ?」


「貴女こそ余裕そうね?四百年以上生きた雪女を舐めないで欲しいわ…。」


刹那は体ごと命に向き合って背後から凍てつく吹雪を吹かせた。
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