神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「冷たくて心地いい風ねぇ。寝苦しい夜にはもってこいね。」


氷雪が入り交じるほどの冷気の風を受けながら、命は平然と楽しんでいた。


「…貴女、普通じゃないわね…?私の吹雪はすぐに凍り付いてもおかしくない冷気なのに。」


「普通じゃないなんて言ってくれるじゃない?確かに普通より美人かもしれないけどね。フフフ」


命は自分の冗談が面白かったのか、刹那が睨み付ける中一人で笑っていた。

刹那は余裕な姿勢を崩さない命に興味が沸いてきた。


「貴女、人間じゃないわね…妖なら私の事は知ってるはずよ?」


刹那はこの四百年の間片時も鵺の側を離れた事は無かった。
大妖怪鵺の片腕としての自分は、それなりの知名度があると刹那は思っていた。

しかし、その問いかけに対する命の答えは意外なものだった。
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