神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「ん?お嬢さんの名前?知らないわねぇ。
たまたま霊圧が上がってる場所があったから見に来ただけよ。」


「何?大妖怪鵺の片腕として従ってた私を知らないなんて、余程田舎者なのね…。」


その言葉に命は、意外な事を言われた気分で驚いた。


「そうかしら?あまり気にしてなかっただけよ。…鵺は古くからの知り合いだけど、お嬢さんの事は聞いた事無いわね?」


「旦那様と知り合いですって?千年以上生きてきた旦那様を知る妖怪は、九尾狐の玉藻御前位しか居ないはず…、しかも生きてるかも分からないわ。」


淡々と話す刹那の言葉に、命は楽しそうに笑った。目に浮かんだ涙を拭いつつ、命は刹那に明るく言った。


「あーおかしい!そこまで知ってるなら話は早いわ。貴女の目の前に居る人がそうよ。」


命の話した内容を噛みしめながら、刹那は無表情なままに命を見つめた。
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