神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「あっはっはっは！全く口だけね、自称九尾のお姉さん！確かに貫いた手応えはあったわよ。」


珍しく刹那は声を上げて笑った。氷晶結界の中には死角など無い、例え透を縦にした所で避けられるものではないからだ。

氷同士がぶつかり合ってキラキラと氷の欠片が舞う中を、刹那はゆっくりと歩いて来た。


氷の槍がまるで棘の山の様に盛り上がってるのを見つめて、刹那は再び勝利の微笑みを浮かべた。


「私に喧嘩売るなんて愚かな事をした、自分を恨むのね。」


「その言葉、そのまま返してもいいかしら。」


「何」


刹那の声に応えて、氷の槍が突き立った山の中から命の声が聞こえた！


「そんな馬鹿な間違いなく手応えがあったのに」


刹那が驚く目の前で、氷の山が砕け散った！