神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「ほほほ、バタバタと忙しい人たちじゃのぅ。」

白蓮は透と肩を並べて食後の茶を啜りながら楽しそうに微笑んだ。
そして一息つくと、これからの戦闘に対して思っている事を皆に告げた。


「…よい機会じゃから皆にも話しておこうねぇ。これは沙綺と御影しか知らない事なんじゃが、何かあった時のためにも知っていてもらいたいんじゃ…。」


湯呑みを下に置いて、白蓮は目を細めながら言った。
透達もその雰囲気にただならぬものを感じて、白蓮の顔を見つめていた。


「私が屋敷から出ない理由…それが今からする話じゃ。
…この屋敷は今となっては退魔士の本部となっているのは皆も知っておるな？
しかし、それまでは別の顔を持っておったのじゃ。」


そこまで聞いて真っ先に反応を示したのは忍だった。


「御館様、そんな話は聞いた事がありません！」


つい語気が強くなってしまったのはただ一つ…。
退魔士の一員として今まで教えられてきた歴史の中に、一切そんな話がなかったからだ。


白蓮は少し興奮気味の忍に片手を挙げて制止すると、穏やかな口調のまま話を続けた。
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