神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「…ここが退魔士本部となる前の別の顔、それは三種の神器の一つ『草薙の剣』の神具殿であるという事じゃ。」


白蓮は顔を上げて一同の顔をゆっくりと見回すと、忍に視線を合わせた。


「我々には何の変哲もない青銅の剣…しかし悪しき者の手に渡れば、これ以上に危険な物は無いと言っても過言ではない代物…。
私が結界士としてここに居続けていたのは、神具を護るため…それはこれからも同じじゃ。」


「…ここに有ったのですね…道理で歴史から消えてるはずだ。」


幹矢は唾を飲み込んで、事の重大さを噛みしめていた。
そして自分の知っている限りの歴史を語りだした。


「遙か昔、八又の大蛇と呼ばれる強大な妖を止留めた神が居た…その名は素戔嗚尊(すさのおのみこと)。
彼は人間達を恐怖に陥れていた大蛇と戦い、その剣を持って討伐したと言われている。

…その一振りで大地を作り、海を裂き、風を起こしたとまで言われる伝説の神具『草薙の剣』
…今も実在していたとは思いませんでした。」
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