神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「分かってるよ!御館様は任せとけ!」


沙綺は呪符を取り出すと、いつでも対応できるように白蓮の前に立った。

そして一同が見上げる夜空に、黒い霧のような物が現れた!


次第に形を変えていった霧は、夜に溶け込むような黒い牧師服の男になっていた。

そのニヤケた口元に冷徹な狂気を感じさせる雰囲気…一度見たら忘れることなど出来ない男、正しく「鵺」だった。
彼は上空に浮かんだまま、透達を見下ろして第一声を発した。


「今夜は死ぬにはもってこいの良い月だ。…そう思いませんか?皆さん。」


透達は今まで感じた事のない妖力の高さに鳥肌が立った!
冷たい汗が肌にジットリと絡み着く様な不快感を覚えながら、白蓮が鵺に切り返した。


「これだけの術者達を前にして随分と余裕じゃのぅ?
以前のようにやすやすと逃げられると思うでないぞ?」
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