神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「…ハァッハァッ…後どれくらいで着くんだ?」


「もうすぐだ!遅れるな神楽っ!」


透達は修学院離宮への道を急いだ。

沙綺の心配をよそに、鵺は自分の居場所が分かるように妖気を透達の方に向かって放っていた!


どうやら今回は罠ではなく本気でやり合うつもりらしい。



しばらく走った後、透達は修学院離宮へと辿り着いた。
その場所は落ち着いた雰囲気の緑がある、かなり広い所だった。

昼ならば詳しい所まで見えただろうが、今は暗闇に包まれていてハッキリとした造りは見えなかった。
…ただ、鵺の立ち姿だけが印象的なほどにくっきりとした陰影に見えた。


息を切らせながらやって来た透達の姿を見つけた鵺は、口の端を吊り上げて不適な笑みを浮かべた。
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