神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
沙綺は湯船から出ていく透の背中を見た。

透の背中には、見たこともない紋様と梵字が描かれている。

(何だ?あの入れ墨は?ありゃあタトゥなんかじゃねぇ、何かの術式だ…。)


沙綺は透の背中に描かれた術式を読み説こうとしたが、あまりに複雑で、それは出来なかった。

(確かにあんな複雑な術式を入れてる退魔士はいねぇな…。
まだまだ俺の知らないことが沢山あるってこった。)


沙綺はあきらめをつけると、自分も体を洗うために湯船を出た。

透はすでに体を洗い始めていた。
その横に沙綺が座ると、透は沙綺に話しかけた。


「さっきの続きなんだが…おまえの系統って何なんだ?」


「ん…?俺か?俺は符術士だ。
霊力を込めた護符を使って妖を退治する。
多少の結界位なら張れるが、まぁ結界士から見りゃままごとみてーなもんだろうよ。」

沙綺は頭のタオルを外しながら答えた。


「…そうか…色々あるんだな。そのうち教えてくれ。」

透はそう言うと体を洗うのを続けた。
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