神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「じゃああの子達も、その契約の試練を受けたって事か?」

「もちろんだ。普通の女の子なのに大した奴らだよな。あはは。」

沙綺は楽しそうに笑うと、空き缶を捨てに行った。
そして透の視界に、彩音達も買い物を終えてこちらに向かってくるのが見えた。

「普通の女の子ねぇ。」

透は自分が普通な環境で育ってないことは知っていたから、少し普通という言葉に憧れた。

彩音はトタトタと走ってくると、透の横に座った。

「休憩できた?沙綺ちゃんと何話してたのぉ?」

「沙綺とか?彩音達のこと聞いてたんだ。」

「あらぁ?お兄ちゃん彩音達が気になるのぉ?にひひ〜!」

彩音は嬉しそうに笑った。
光に当たった髪は、忍より少し明るい色なんだなと透は気がついた。

「ああ、気になるさ。彩音は気にならないのか?俺のこと。」

「彩音はねぇ、お兄ちゃんお気に入りだよ!」

きらきらとした目でそんな事をいきなり言われた透は顔を赤らめた。
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