神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
…真っ暗な空間にポツリと一つだけ椅子がある。
そこにゆったりとした姿勢で座る人影。
一条の光が斜めに差し込んでその人影の首から下を照らしていた。
性別は分からない。
その人影の前に立つ男が一人…。
つば付きの帽子を目深にかぶり、黒い牧師服を纏ったにやけ顔の男。
人はその男を「ぬえ」と呼んだ。
鵺は椅子に腰掛ける人影の前に片膝をつくと、ゆっくりと話始めた。
「神楽 透についての報告にあがりました。今宵もご機嫌麗しゅう存じます。」
「下手な挨拶などいらぬ、早く申せ。」
鵺の言葉に対して返した声は男の物だった。
「はい、一度様子を見るために手頃な人間を操ってけしかけたところ、面白い事実が分かりました。」
「何をだ?」
「あの男…狐狗狸憑きでございます。」
「妖三体だと?それは珍しい、で?」
「母親の澪に憑いていた化け狸、父親の玄奘に憑いていた犬神、そして僧正に憑いていた妖狐です。」
「…いずれも我らの邪魔をしてきた強敵だな…。」
「その通りでございます。ですが今は1人に三体…殺すのは少し惜しいかと思いまして、一度帰って参りました。」
鵺はそこまで言うと、頭を上げて答えを待った。
そこにゆったりとした姿勢で座る人影。
一条の光が斜めに差し込んでその人影の首から下を照らしていた。
性別は分からない。
その人影の前に立つ男が一人…。
つば付きの帽子を目深にかぶり、黒い牧師服を纏ったにやけ顔の男。
人はその男を「ぬえ」と呼んだ。
鵺は椅子に腰掛ける人影の前に片膝をつくと、ゆっくりと話始めた。
「神楽 透についての報告にあがりました。今宵もご機嫌麗しゅう存じます。」
「下手な挨拶などいらぬ、早く申せ。」
鵺の言葉に対して返した声は男の物だった。
「はい、一度様子を見るために手頃な人間を操ってけしかけたところ、面白い事実が分かりました。」
「何をだ?」
「あの男…狐狗狸憑きでございます。」
「妖三体だと?それは珍しい、で?」
「母親の澪に憑いていた化け狸、父親の玄奘に憑いていた犬神、そして僧正に憑いていた妖狐です。」
「…いずれも我らの邪魔をしてきた強敵だな…。」
「その通りでございます。ですが今は1人に三体…殺すのは少し惜しいかと思いまして、一度帰って参りました。」
鵺はそこまで言うと、頭を上げて答えを待った。