猫のギター使い
あるとき
僕がひとりで
歩いていると



女の子が僕を抱き上げた。



17歳くらいのかわいい
女の子だった。



「ねぇ、君、何て名前?」



名前なんかない。

ずっと昔に、忘れたよ。



僕はその子の腕を
自慢の爪で引っ掻いた。




「きゃっ」


その子は驚いて
僕を離した。




―フン


鼻を鳴らして
僕はまた歩き出す。




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