夢の桜
だんだん痛みがおさまり



夢中になってる男を思い切り蹴り飛ばした


「ウッ………」



もう一発腹に蹴りをいれると男は腹をかかえて逃げていった


俺は咄嗟に桜を抱きしめた
「お兄ちゃん」

「…消毒してあげるから」

「怪我はしてな……ん」

言葉を遮るかのように無意識に桜にキスをした

「今ほどくな」

「でも」

あ、自分は手が不自由


ひもをほどくことすらできない





俺は精一杯力をいれようとした




「クッ………」





力を振り絞った







すると手のロープがほどけた


「あ、」


「ほどけた」








それから桜は自分で足のロープをほどいた



「ありがとう、お兄ちゃん」

「おん、今日は帰るか」

「うん」

「これ、着ろ」

俺はジャケットを羽織らせた

「ありがとう」











帰り道も家についても桜はキスをしたことを言わなかった
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