この空の彼方
「琿坐、芦多に負けんようにな。
顔が立たんぞ。」



遠くから政隆が声を張り上げた。



「わかっとるわ!
お前こそ、千歳の力に驚くなよ。」


「お前より機転が利くのは知っている。」



ふんと鼻を鳴らし、政隆は千歳に向き直った。



「くそう、政隆の奴。」



言いながらも怒っていない琿坐の様子から仲の良さが窺える。



「よし、始め!」



琿坐の合図で芦多は前に出る。



「うおぉ!?」



琿坐は驚きながらも、身体を反らして芦多を避けた。



「とりゃ!」



そういえば、琿坐は攻撃する時に声が出るたちだった。



懐かしく思えて、芦多は少し笑った。



そんなことをしていると、琿坐が体制を整えて躍りかかってきた。



気を引き締めて集中する。



金属音が晴れた空に響き渡った。

















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