この空の彼方
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八重が戻って数日。
何故か、芦多は辰太郎に呼び出された。
政隆が今朝早く芦多に部屋を訪れ、緊迫した面持ちで言った。
「芦多、辰太郎様がお呼びだ。」
政隆の様子からすると、なにやら自分はとんでもない状況にいるらしい。
だが、芦多には何も身に覚えがない。
いったい、なんだろう。
正装をし、芦多はいつもよりも礼儀正しく謁見の間に向かった。
先を行く案内役の男はずっと無言だ。
なんだか気味が悪い。
間に着くと、何人かがもう座っていた。
いつもとは、違う。
重役までもが勢ぞろいだ。
「失礼致します。」
「面を上げろ。」
言われたとおり、芦多は身体を伸ばした。
辰之助親子の目が、鋭く芦多を射ていた。
「今日は、お前に提案があって呼んだ。」
いきなり辰之助は本題を切り出す。
「今、我が国が危機的状況に陥っているのは知っているな?」
「はい。」
嫌な予感がする。