この空の彼方
「そうだな。」


「お前が帰って来なかったら、灯世が泣くぞ。」


「お前も、死んでも死に切れないだろ。」



口々に言って、3人は芦多をどつく。



「お前らが相思相愛なのは周知の事実だ。」



芦多は笑って頭を掻いた。



いつからか、そう言われるのが恥ずかしくなくなった。



「灯世はどうかわからないよ。
私が一方的に想いを寄せているだけだ。」


「あ~、痒い。
だから、周知の事実だっつってんだろ。」


「いい加減、素直に聞け。」



ジャリ、と千歳が足を踏み鳴らした。



「…だから、辰之助はお前をよそに飛ばして、強引に灯世と婚約したんだろ。」



爪鷹が真剣に言う。



「…わかってる。」



証拠に、灯世に挨拶もさせてもらえなかった。



「武術大会のとき、灯世を連れ去った辰之助様の形相は凄かったからな。」


「灯世もいい迷惑だ。」



クックッと4人で笑いあった。



「芦多、俺達もなんとかお前のもとへ行く。」



何!?



「駄目だ!
いらん!
来るな!」


「行くっつてんだろ。
大人しくはいと言え。」



耶粗に首を絞められるが、芦多は力一杯振りほどいた。





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