椿と柊
……ン…タン…
タンタンタンタン…
「…!」
開け放しの扉から、微かに物凄い勢いで階段を上がる誰かの足音が聞こえてくる…。
タンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンッ!!!
「…えっ?」
隠れるように開いた扉の横に座っている私は、扉の付け根の隙間から確認するしか無かった…。
勢いよく階段を駆け上がり、屋上を目指す…その人物は、ツヤツヤの長い黒髪を靡かせている…。
「…っ?!」
私が覗く隙間を横切り、屋上に姿を現したのは…なぜか服装が乱れている…女子生徒…。
彼女は走るのを止めず…そのまま真っ直ぐに進んで行く…。