椿と柊
4.全速力
新学期の準備のため、教師たちが学校に来ていることは知っている。
ただ…担任のササがいなきゃ話にならない。
一年のときから担任のササ…佐々岡幸広先生は、生徒の話をちゃんと聞いてくれて、信頼できる教師の一人。
他の教師に言ってもダメだ…。
私の言葉なんて、信じてはくれない。
「…さっ……ササー!」
私は職員室に辿りつくと、開け放しの扉から中へ思いっ切り叫んだ。
「はぁ…はぁ…ごほっ…」
扉に寄りかかる私を、驚いた表情で見つめる教師たち…。
パタパタパタパタ…。
聞き慣れたサンダルの足音が聞こえた。