椿と柊
「…きゅ……救急車…?……誰かケガでもしたのか?」
ササは急に真顔になって、私の目を見つめる。
「…あの…」
私が事情を話そうとした瞬間、目の前がパッと暗くなった。
「……いい加減にしろ…香山。…授業はろくに出ないくせに、部活は出るんだな!……教師に向かってあだ名で呼ぶとはなんだ!」
現れたのは、私を何かと目の敵にする国語教師の橋口だった…。
橋口のことが嫌いな私は、授業に数回しか出たことがない。
でもテストでは90点台をとる…そんな私に憤りを感じているんだろう。
「橋口先生…、あ…あだ名を許してるのは僕で…」
私から橋口へ目線を移し、焦りながら弁解をするササ…。
「佐々岡先生!教師と生徒は友達じゃないんだ!…あんたが甘いからこんな…」