椿と柊
5.汐留 桜
中庭に辿りついた私の足は、ピタッと止まった。
「…どうしよう……」
今更、一人で突っ走ってきたことを少し後悔する。
「…あそこの角を曲がれば……いるんだ…」
…ドクン…ドクン…
今朝の夢を見たときと同じ…ものすごく緊張している自分の心臓…。
これは…『恐怖』だ。
もう死んでいたら…、私は初めて死体というものを見ることになる。
頭から落ちていたから…もしかして頭は潰れてる?
血まみれ?
ぐちゃぐちゃ…?
生きているなら…どうすればいい…?