椿と柊



「…脈……いや……触っちゃダメかな…」



よくドラマなんかで脈を測るシーンがあるけれど…そんなこと勝手にやっていいのかわからないし、何より触れるのは怖い。

それに…「確実にもう死んでいる」としか、私の頭の中は答えを出さなかった。



「……しお…どめ………なんで…こんな……」

私はその場にしゃがみこんで、震える体を両手でギュッと抑えた。


「………」

見るのは怖い。

でも、汐留の目をどうしても見てしまう…。


「……?…」

ふと、汐留の目線の先に、汐留の細い人差し指があることに気がついた。

「…土が…ついてる…」

汐留の人差し指の伸びた爪の間に土が入っている。


ネイルなど全くしていないのに、とても綺麗な爪…。


その先端のすぐ真上に、何か書いてある…。




< 34 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop