椿と柊
「…脈……いや……触っちゃダメかな…」
よくドラマなんかで脈を測るシーンがあるけれど…そんなこと勝手にやっていいのかわからないし、何より触れるのは怖い。
それに…「確実にもう死んでいる」としか、私の頭の中は答えを出さなかった。
「……しお…どめ………なんで…こんな……」
私はその場にしゃがみこんで、震える体を両手でギュッと抑えた。
「………」
見るのは怖い。
でも、汐留の目をどうしても見てしまう…。
「……?…」
ふと、汐留の目線の先に、汐留の細い人差し指があることに気がついた。
「…土が…ついてる…」
汐留の人差し指の伸びた爪の間に土が入っている。
ネイルなど全くしていないのに、とても綺麗な爪…。
その先端のすぐ真上に、何か書いてある…。