椿と柊
庄司先生は手袋をはめた手で、汐留の右手首を触っている。
「……脈は……ない…ですね……」
「……あっ!」
止める間もなく、先ほど見つけたダイイングメッセージのようなものの上に、庄司先生がしゃがんでしまっていた…。
「…え?」
私の声に目を見開く庄司先生。
「あ…いや……触っていいんですか…?」
「…あ…そうですね…。ちょうど手袋を持っていたので…はめれば大丈夫だと思って……」
庄司先生は少し焦ってパッとその場を離れる。
「…え…あ……いや…」
私は動揺しながらも庄司先生の足元を確認したが、あの文字は消えてしまっていた。