椿と柊
6.目撃者ということ
「えー…と、先ほどちょっと先生方に聞きまして…。あなたが彼女の落下現場を目撃し、救急車を呼べと言った…と」
「…はい…。…そうです……」
パトカーに乗るのは久しぶりだった。
中学生のときに、何度か補導されて乗ったことがある…。
「……知ってること……全部話してくれる?」
後部座席の、私の隣に座った化粧くさい女性警察官が、急にタメ口で問いかけてきた。
「…部活が始まるまで…と思って、屋上にいました。……屋上について…少ししてから……汐留…が階段を上ってきて…。…ドアから真っ直ぐ…柵の方に走っていって……自分で飛び降りました…」
そのとき…恐らくバレるんだろうな…と思った。
「あなたは何をしていたの?」
「…ドアの陰で、ぼーっとしてました…」
「……もしかして…タバコ…吸ってた?……臭いがするけど…」
「………まぁ…」