椿と柊
「…ごめん……ササ…」
私はササと校舎の玄関に向かいながら、ゆっくり話をして歩いた。
「新学期が始まるまでの一週間、自宅謹慎な。…とりあえず、今はそれどころじゃないけど…。…お前もショックだったろ?…いや……お前が一番ショックだよな…」
ササは私を抱き寄せて、肩をポンポンと優しく叩く。
「……今でも…信じられなくて……どうしたらいい…?…ササ…」
私の中のすべてがまるで、事実を受け入れることを拒否しているようだった。
「…大丈夫か?……家まで送るか?」
「いや…ササが来たらおばあちゃんがうるさいから遠慮しとく…」
「でもお前…」
ササが何か言いかけた瞬間、私の目には吹奏楽部のメンバーが映った。