椿と柊
「香山先輩っ!!!」
私に気づいたなっちが、叫びながらこちらに向かってきた。
「…だいじょぉぶですか…?」
私の手を握り、涙目で私を見つめるなっち…。
「…うん…大丈夫…」
私はなっちの暖かい手をぎゅっと握り返し、精一杯平気なフリ…。
「菜月…、椿と一緒に帰ってくれないか?…」
「ササっ!…なっちは反対方向だし…バス通だよ!…私は大丈夫…。家…近いから……」
「…先輩…?」
私はなんとなく…一人になりたかった。
一人にならなければいけないような気がしていた。