椿と柊
「……香山さん!…」
次に私のもとへ駆け寄ってきたのは、吹奏楽部の部長だった。
「…さ…桜が……屋上から飛び降りたっていうのは…本当…?」
部長の室井梢は…汐留とすごく仲が良かったはず…。
「……うん…マジ…。……私が…屋上で見た…」
今にも泣き出しそうな顔をしてこちらを見つめる部長から、私は目をそらした。
「…うそ…嘘だよ……。…どうして止めてくれなかったの?!」
部長は私の両腕をグッと掴み、ボロボロと涙を流しながら叫んだ。
「……だって…!」
「あぁぁぁあぁぁっ……うあぁぁぁ……」
…私の言い分を聞く前に、部長はその場に泣き崩れた…。