椿と柊
「…とりあえず…お前らは帰れ。な?……春休み中は部活禁止だ」
ササは部長の頭をポンポンと撫でて、校舎へと一人歩いて行った。
校舎の玄関には、部活中だった生徒たちが大勢集まっていた。
ザワザワしながら、みんなが私たちを見ている…。
私はカバンの持ち手をギュッと強く握りしめた。
「部長…ごめん…。なっち…私…帰るね…」
「あ…先輩…大丈夫ですか…?」
「うん。今…玄関に行ったら、なんか言われそうだし。このまま帰る」
私は部長の肩に軽く触れてから、校門の方へと歩き出した。
少し進んでから振り返ると、なっちが不安そうに私を見ていた。
私は無理やり笑顔をつくって、なっちに手を振って、また…歩き出した。