椿と柊
金髪で…背の高い…スーツ姿の一人の男。
「…泣いてたの?!」
男は私を見下ろして、少し焦ったような声を出した。
「……泣いて…ません…」
私はとっさに顔を伏せたが、男は強引に私の頬に手を置き、私の顔を覗き込んだ。
「何言ってんの?泣いてんじゃん。…カワイイのに…ひでぇ顔…」
「ちょ…やめて!…誰?!」
男の手を引き離し、その場に立ち上がろうとする私を、男はまたも強引に押さえつける。
「……変わってないね…つーちゃん…。…おっきい目…」
「……え…?」
その瞬間、強い風が吹き、たくさんの桜がパラパラと舞ったのが見えた。
「……もしかして……」
…変わってないのは…お互い様だ…。