椿と柊
桜並木道の中心に、しばらく留まる。
ほのかな桜の香り…。
昔、まだ家族4人で暮らしていた頃…、母が徐に語った話を思い出す…。
「あなたたちがもうすぐ産まれるって時にね、パパともめたのよ。名前をどうしようかって」
そこには穏やかな母の笑顔…。
「それでね、3月って冬なのか…春なのか…ってケンカになってね。ほら…北海道って3月でも寒いでしょ?ママは北海道生まれだから」
あの頃は…よく意味がわからなかった…。