椿と柊



「二人とも!…そこに座りなさい。…色々聞きたいことがあるわ…」


そう言いながら、ティーポットにお湯を注ぐ祖母。

メールのことを確認したかったが、とりあえず私はソファーに座ることにした。


「……相変わらず恐ぇな…ばーちゃん…」

柊が堂々と私の横に腰掛ける…。


「…聞こえてますよ…柊…。…どうやら本人のようね…」

祖母はお茶の用意をしながら、こちらをチラチラと伺っていた。

「…本人って……柊じゃん…。面影もあるし…」

私がそう言い返すと、祖母はキッとこちらを睨みつけた。

「椿…。今は色々な犯罪が多いのよ。少しは警戒したらどうなの?」

「…でも柊はあの桜の場所に来たの!柊に間違いないよ!」

「……まぁまぁ…つーちゃん……ばーちゃんの言うこともわかるから」

「………ふん…」


たしかに、本当に柊だという証拠は何もない…。

でも…なんだろう…。

この男と私は、何かが繋がっている…。



…そう確信していた。




< 56 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop