椿と柊



「……どうぞ…」


祖母が紅茶を出してくれた。

私の好きな、アールグレイ…。


「…まず…聞いていいかしら…?…柊……」

私の向かいにある祖母専用の椅子に腰掛けた祖母は、真っ直ぐに柊を見つめた。


「……その格好はどうしたの…?…その髪の色は?学校は?杏里さんはこのことを知っているの…?」


『杏里さん』というのは、母の名前。

今は北海道で医者をやっているはず…。


「…学校はやめた。…今は家出中なんだ。だから母さんには連絡しないで。…父さんにも…誰にも…」


「や…やめた?!…家出??……何かあったの?!」



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