椿と柊
「…つーちゃん…あのさ」
「…ひーがいなくな…」
廊下を一歩進むなり、私と柊は同時に言葉を発した。
「え?なに?ごめん」
「ん?なに?ごめん」
そして同時に譲り合う。
「俺は…やっぱいいや…」
柊は遠慮がちに笑って首をポリポリかきながら、階段を上ろうとした。
「違う!こっち!ひーとママが出てってから改装したの!」
私は慌てて柊の手をひき、廊下の奥へと向かった。
「こ…?え?…こっち行ったら親の寝室じゃん…」