愛戦士☆MOMO
『ハァ・・・ハァ・・ハァ・・』

私は律儀な女、連絡がつかなくなってし
まったため断りを言いに待ち合わせ場所
にひた走る。

コッコッコッ――

9cmヒールのブーツが走りづらい。

しかし・・・すでに1時間の遅刻。

いないかもしれない。

でも・・・でも・・・


「MOMO!!そんなに走らなくても
僕は逃げないよ♪」

『ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!!!
今日はデートできないの!!
ハァ・・・ハァ・・ペットが・・・ペットが
いなくなっちゃって!!』

「落ち着いて、大丈夫?
MOMOの大切なペットなんだろ?
僕も一緒に探すよ。」

なんつって♪

その瞬間ゴキッ――と鈍い音が

いった・・・いっちゃった・・・

スローモーションのようにゆっくり
目の前にアスファルトが近づいてきて

バァイイイイイン――

すごい音を立ててこけた私。

ついた手の平がズル剥け。

『痛っ!・・・・・・』

ゆっくり顔をあげるとクスクス笑う人集。

カップル・・・彼の姿はない・・・

でも、グッキリいってしまったため
すぐ立ち上がることもできやしない。

最悪・・・

ゆっくり体を起こすとワンピの裾から
でた膝小僧、ストッキングが伝線して
血がにじんでいる。

すごく哀しい気持ちになった。

やばい・・・涙でそう。

『∑?!』

グッと二の腕を摑まれたかと思うと
いきなり立ち上がらされた。

『いや!ちょっと!!!
足首いっちゃってますから!
・・・ん?立ってる・・・』

でも何かバランスが変。

「大丈夫ですか?ハイ、これ」

手渡された折れたヒール。

あぁ・・・これね・・・

『すみません!ありがとうございました』

と頭をさげ、声の主を見ると

「いいえ」と優しい目で笑っていた。

『かっけぇ・・・』

「え?」と不思議な顔。

『いえいえ!何でもござりませぬ!』

ござりませぬって!!

「プッ!クククッ♪」と、めちゃめちゃ男前の
兄ちゃんが笑ってる。

私もつられて笑った。
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