クリスマスに悪魔がやってきた
ちゃんと言えたのに。

がんばったのに。

勇気を出したのに。

ポスカの目に涙が浮かんできました。

サタンも

「あの女、何勝手なこと言ってんだ、一緒に遊べばいいじゃねぇか」

怒りに我を忘れて花壇から出てきそうになった、そのときです。


ポスカの目の前で女の子が転んでしまいました。

膝を少しすりむいたようで、泣きだしそうになっています。


そしてサタンは自分の目を疑いました。

ポスカが、女の子のほうにかけよって

「だいじょうぶ?」

と声をかけたのです。

これっぽっちも恥ずかしがる様子もなく。

風が吹くように自然に。

サタンはすかさず花壇の中からポスカに向かってハンカチをパスしました。

ポスカはそのハンカチを女の子の膝にあてると

「だいじょうぶだよ」

とてもやわらかい声でいいました。


すると、泣き出しそうだった女の子も笑って言いました。

「ありがとう。あなたは誰?」

「え?えっと、あの、ポスカ。ポスカっていうんだ」

「あたしはライチ。一緒に遊びましょ、ポスカ」

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