black & red
‡prologue‡

「ゴメン...君が欲しいんだ」


 苦し気に息をつきながらゆっくり近づく顔。

 その顔は痛みに耐える様でー...壮絶なまでに美しい。

 私は言葉を失った。

 今では完全に深紅に燃えている瞳で私を見つめる。

 そんな彼に伝える言葉はただ1つだけ。

 そう、きっとこれだけ...



「いいわ。貴方にあげる。」


 私の微かな囁きに彼の瞳がゆらりと揺らめく。

 そして私は瞳を閉じた。

 喉元を伝う冷たい吐息と、甘く身を溶かす痛みに、息を漏らしながらー...。



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