black & red
「今までありがとう。リアナ。」
はにかむ様な小さな微笑み。
そんな笑みもらすエリザの前には、学友でもあり親友のリアナが、眉間に微かなシワを寄せて佇んでいた。
「エリザ。アンタが居なくなると寂しくなるわ…。」
悲しみに溢れる声にエリザは涙を抑え込むように、唇を固く結んで頷く。
「私もよ。リアナの声が聞けなくなると思うと、寂しくなっちゃうわ。」
「エリザ…。」
「学校も卒業間近だけど、もう十分。論文が書き切れなかったのは残念だけどね。」
エヘヘっと笑うエリザにリアナは瞳を伏せた。
涙をしきりに流しながら…。
今日エリザはこの街を離れる。
思い出があり過ぎるこの場所にいると、涙があふれて…きっと二人の死を受け入れられない。
(だから決めたの。ゴメンね、リアナ。)
涙を流しながら、小さく肩を振るわすリアナを、強く抱き締める。
そして一言…
「さようなら。」
灰色の空にゆっくり溶ける…別れの言葉を呟いた。