あなたの隣
おかえり
田舎の広大な土地に一軒の趣のある平家がたっていた。
詩桜は例の如く今年の夏もその平家、おばあちゃんの家で過ごしていた。
「こら!喧嘩しちゃだめでしょ、仲直り!」
「えーっだって直紀がぁー!」
「雅哉だってー!」
「はいはぃ。喧嘩両成敗!わかったら謝る!」
「「はーい…ごめんなさ〜い」」
「よろしい」
くいっくいっ
お説教をし終え、ニッコリと笑う詩桜の服の裾を引っ張ったのは瑠実だった。
「詩桜おねーちゃん、おままごとしよー!」
「はいはい、今行くよ!」
親戚の子供たちが大きくなるにつれ世話が大変になっていくが、それも楽しいと思えるのは自分が歳をとった証拠かもしれない。
そんなことを考えながらうんうん。
と頷いていると、後からおばあちゃんに声をかけられた。
「大変だねぇ、詩桜。はぃはぃ、皆、かき氷だよ!」
手にはかき氷の乗ったお盆。
1、…2、3、4…5…6
「おばあちゃんも食べるの?」
「いいや、食べないよ」
「だって、詩桜のぶん、雅哉、直紀、瑠実、拓真…一つ多いよ?」
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