万象のいた森
こんな風に二人乗りしたのは初めての経験。
風が気持ち良かった。
自転車はやがて街を離れ、山道に入っていった。
ノーベルは立ちこぎをしながら、自転車はくねくねと今にも倒れそうに登っていく。
「重てぇー」
最後にそう絶叫すると、あえなく自転車は止まった。
自転車を押すノーベルの隣りをユキは歩いた。
「どこに行くの?」
「ヒノキの森」
「遠いの?」
「もうすぐ」
「何があるの?」
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