万象のいた森
 
ちょっと違和感を感じる。

息苦しい感じ。
なんだか、胸を締め付けられてるみたい。

ユキはノーベルとつないだ手を離した。

胸に手をあててみる。
激しい心臓の鼓動を感じる。

「んっ?」

こ、呼吸の仕方がわからない。

息を吸い込もうと思うのに横隔膜がそれを拒絶する。

ユキは立っていられなくなった。
胸を押さえて、しゃがみこむ。


荒い呼吸を繰り返すユキを見て、ノーベルは心配そうにのぞきこんだ。

「イ・キ・ガ・デ・キ・ナ・イ」

ユキの悲痛な声。

「ねえちゃん、どうしたの、ねえちゃん・・」

抱きかかえるように背中をさすっていたノーベルが、突然立ち上がった。
そして、ヒノキを見上げ、大声で叫んだ。

「やめろ。やめるんだ、マンゾー」
 

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