万象のいた森
風が止まった。
枝々のざわめきが消えていた。
ノーベルは叫び続けている。
でも、その声は次第にくぐもり、どんどん遠くへ離されていくようだった。
それに比例するようにあたりは真っ白な光に包まれていった。
ユキは気を失っていた。
目を覚ますと、男の子がいた。
なんだか懐かしい顔。
ノーベルに似てると思った。
「ノーベルの弟?」
男の子は頷いた。
「ノーベルは?」
男の子は谷底を指差した。