万象のいた森
 
なんて大胆な行動。
まだ、心臓がバクバクいってる。

広い駐車場を男の子の手を引いて大股で歩く。
どこへ行きたいってわけじゃない。
とにかく、その場を早く離れたかった。

それなのに男の子は脳天気に「食べる?」なんてほざくし。

「あのねぇ。わかってんの」

立ち止まりざま振り向くと、男の子はユキの腕にぶつかってきた。
男の子はユキと目が合うと上目がちにニコッと笑い、静々とさっきの商品を差し出した。

「バカ」

ユキはまた、男の子の手を思いっきり引っ張って歩き出した。

でも、なんで黒糖飴なのよ。
 



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